Q10.委任と請負の違い

委任と請負の違い

仕事を第三者に実施してもらう場合・・・

仕事を第三者に実施してもらう場合、契約形態として委任契約(正確にはシステム開発業務の場合は準委任)や請負契約の等の形態が考えられます。

よくシステム開発契約書のタイトルで『システム開発委託契約』というものがあります。タイトルだけ見ても委任か請負かわかりませんが、委任なのが請負なのか意識して契約締結をしないと、思いもよらないトラブルに巻き込まれることがあります。

委任契約は、仕事や製品の完成が目的ではなく、契約で合意した内容を実現するための作業を遂行することを契約の目的とする契約で、結果を確約できない契約形態です。(お願いされたことを一生懸命履行することが目的)

それに対して請負契約は、契約で合意した内容を実現することが契約の目的で、契約を完了するためには、合意した内容を完成させなければなりません。
単純に考えると次のような感じでしょうか

  • 委任契約 ⇒ 依頼されたサービスを提供し、作業を履行することが目的(完成しなくても求められたことを履行すればよい)
  • 請負契約 ⇒ 依頼された内容の完成が目的。実現方法は任されている。

さてシステム開発の工程は大きく分けて『システムの仕様を策定するフェーズ』(仕様策定フェーズ)と『策定した仕様に基づいてシステムを開発するフェーズ』(開発フェーズ)に大きく分かれるのではないでしょうか。

仕様策定フェーズはユーザとベンダーが協力して仕様を確定する作業になります。つまりユーザの協力なしには、作業を完結することができず、ベンダーから見るとリスク要因となります。

それに対し、開発フェーズでは既に確定した仕様に基づき作業をするわけですからユーザの関与の度合いは低く、ベンダー側は自己の裁量・責任で作業を遂行することができます。

そこで、仕様策定フェーズは委任契約で、開発フェーズは請負契約が、どちらかというと向いた契約形態といえます。またコンサルティングの契約等は委任契約で行われることが多いようです。

実際にはユーザの関与度合いなどから、仕様策定は委任契約、開発は請負契約と2つの契約に分けて行う場合や、ベンダーがリスクを受入れて一括請負契約で行う場合などいろいろなパターンがあります。

どちらで締結するにしても法的には意味が違いますので、注意が必要です。

壇コンサルタント事務所では、IT法務と人財コンサルティングをメイン業務にしています。
東京など関東を中心にシステム開発契約書やシステム運用契約書等のIT関係の契約書や人事制度構築・就業規則や各種社内規程作成について、作成支援・コンサルティング等各種サービスの提供をさせて頂いております。貴社の法務アドバイザーとしてお気軽にご利用ください。