就業規則作成・人事制度見直し

人事制度見直し

成果主義など各種評価制度が導入されてきましたが、それによって生産性は向上してきたでしょうか。むしろ達成が難しい目標を与えられて職場全体にお互いに相談もなく黙々と仕事をしている「ギスギス」空気、社員を育てようという雰囲気の見えない「働け」空気に満ちている職場も多いのではないのでしょうか。

企業の競争力は社員の能力で決まります。つまり社員を育てることは会社を成長させることにつながります。

当事務所は企業の状況に合わせた人事制度構築をご支援します。また法令等コンプライアンスを重視した就業規則作成までワンストップでご支援いたします。

人事制度構築サービスの基本手順としては以下の手順となります。

  • お客様とプロジェクトを組み、現行業務の洗い出しを行います。これにより従業員の実施している業務を可視化します。
     
  • 実施している業務の必要性・重要性を検討し、今後の会社の方向性を考慮した各職種別に必要なスキル・能力を定義し、従業員に求められるスキル・能力を明確化します。
     
  • 相対評価でなく絶対評価による評価ルールの明確化、絶対評価による評定を可能にする業績向上に応じた給与制度を作成します。

また現行業務を洗い出す際に、業務をよりよく実現するための業務プロセスの改善についても見直しを実施します。

IT企業の就業規則の特徴

IT業界は人に関する問題が生じやすい業界といえます。

<主な特徴>

  • 労働時間が長く残業時間が多い
  • 偽装請負、偽装派遣の問題がある
  • 長時間労働で発生する健康問題
  • うつ病などメンタル面の問題
  • 人の出入りが多く離職率が高い
  • ローパフォーマー社員への対応

<問題になりやすい事項>

  • 残業手当等の未払い賃金の支払いを従業員、退職社員から訴えられる。(未払い賃金の請求権は2年ですので、2年分の未払い賃金+延滞利息の請求が行われ、敗訴すると大きな金額の支払いとなります。
     
  • 長時間労働ににより、脳・心臓疾患により労災認定されると労災発生の事業者となります。(月100時間又は2~6ヶ月平均で月80時間以上の時間外勤務があると、脳・心臓疾患発症との関連性が高いと判断される可能性が高くなります)
     
  • 長時間労働による主要メンバーの鬱等の発症による、戦力ダウン
     
  • 機密情報や個人情報に触れることが多く情報漏洩のリスクが高い。

 
IT企業の就業規則は、より多くのリスク対応を施した就業規則や関連規程である必要があり
ます。また人がすべてのIT企業にとって、リスク対応だけでなく、社員のモチベーションを高めやる気を起こすためのバランスについても考慮する必要があります。

インターネットなどにより従業員がその気になれば、未払い賃金請求などの情報が容易に入手
できる時代になりました。また労使トラブルの解決方法としての労働局の紛争調整委員会による「あっせん」や裁判所の「労働審判制度」により以前にもまして従業員が、未払い賃金請求等を請求しやすい環境が整い始めています。

IT企業の経営者の中には自社は労働紛争に巻き込まれることはないと思われている方も多いと
思いますが、情報収集にたけた従業員の多い業界ですので、紛争に巻き込まれても反証できる
ように、就業規則等を用いてあらかじめ自社のリスクを低減しておく必要があります。
 
<主な検討課題例>

  • 残業抑制の仕組み(定額残業手当、専門業務型裁量労働制、フレックスタイム等)
  • 健康管理の仕組み(セルフケア等)
  • 私傷病による休業・復職
  • 入社時及び退職時の誓約書
  • 昇給
  • セクハラ、パワハラ対応
  • 退職金
  • 罰則・懲戒 
  • 退職時の引継 

<その他留意点>

  • 休職期間
  • 退職手続き
  • 無断欠勤者対応
  • 有給休暇の会社の「時季変更権」の明確化
  • 個人情報、機密情報の取扱

<参考>
平成24年度個別労働紛争解決制度施行状況

 

意外に多い残業不払いによる割増賃金

平成23年度 賃金不払残業(サービス残業)是正の結果まとめ(厚生労働省)」によると全国の労働基準監督署が、平成23年4月から平成24年3月までの1年間に、残業に対する割増賃金が不払になっているとして労働基準法違反で是正指導した事案のうち、1企業で100万円以上の割増賃金が支払われた事案の概要は以下のとおりです。中小の事業者にとって正直この件数と金額の支払は大きなビジネスリスクになるのではないでしょうか。

是正企業数1,312企業 (前年度比 74企業の減)
支払われた割増賃金合計額145億9,957万円 (同 22億7,599万円の増)
対象労働者数11万7,002人 (同1,771人の増)
割増金の平均額支払われた割増賃金の平均額は1企業当たり1,113万円、
労働者1人当たり 12万円
1000万円以上の割増金割増賃金を1,000万円以上支払ったのは117企業で全体の8.9%、その合計額は83億223万円で全体の56.9%
最高支払額1企業での最高支払額は「26億8,844万円」(建設業)、
次いで「9億8,207万円」(金融業)、
「7億5,687万円」(小売業)の順